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認知症の診断

認知症の診断

老化からくる自然な衰えによるぼけと病的な認知症(痴呆)を見分ける診断が必要になります。
認知症と症状が似たものに、うつ病・老年期精神病・せん妄・健忘症・失語症・性格障害などがあり素人目には認知症を疑う場合もありますので、専門の医師に診断をゆだねることが良いでしょう。
まず、加齢からくる自然なぼけと認知症の違いを簡単に紹介してみましょう。

【老化によるぼけ】
  • 加齢による
  • 社会生活に支障がない
  • 精神症状・行動障害なし
  • とっさに思い出せない
【認知症(痴呆)】
  • 病気により発症
  • 社会生活に支障あり
  • 精神症状・行動障害あり
  • 体験自体を忘れてしまう

認知症と診断するには記憶障害があるかどうかが必要となります。簡単な例では、知人の名前がすぐに出てこないのは老化による物忘れであり、知人の顔を見ても誰だか分からない状態になると認知症(痴呆)と診断されます。

また、認知症と診断するには症状が一過性のものではなく慢性的であり進行性のものであるというとことが重要になります。

記憶・認知機能のテスト方法

改訂版 長谷川式簡易認知症評価スケール(HDS-R)

我が国では利用例が多く、見当識、記憶など9項目からなり30点満点で評価されます。20点以下が認知症の疑いとなっています。

ミニ・メンタルステート試験(MMSE)

広く世界中で利用されている検査方法で、10分程度で検査でき、見当識(今、いつで、どこにいるか)、記憶(覚える、思い出す)、計算など11項目からなり30点満点で評価します。23点以下で認知症の疑いがあるとされますが、教育や気分も影響しますので、あくまでも目安として利用しています。

アルツハイマー病評価スケール(ADAS)

認知症の状態を詳しく知る必要があるときに実施します。
見当識、記憶などを中心に11項目からなる検査で、アルツハイマー型の進行の様子を評価するのに適しています。検査に40分~1時間30分かかることもあり、すべての患者に適用はしません。

ウェックスラー成人知能検査(WAIS-R)

知能を動作による知能と、言語による知能にわけ、11項目の検査を行います。知能の全体的な様子を少し詳しく評価するのに適しています。
こちらも上記と同じで、検査に40分~1時間30分かかることもあり、すべての患者に適用はしません。

高齢者うつスケール(GDS)

高齢になると気分的な落ち込みによって、認知症と似たような状態になることがあります。そのために気分の検査をしておくことも大切です。
認知症があっても答えやすい検査で、30項目の質問で、10点以上が少し抑うつ状態、20点以上がかなり抑うつ状態と評価されます。

認知症の診断基準

アルツハイマー型認知症の診断基準(DSM-4)

世界で最も広く用いられる認知症のガイドラインとして、アメリカ精神医学界が作成した診断基準がDSM-4です。

総合評価

認知症性疾患の診断は、臨床症状と画像検査、血液検査、生理的検査などを組み合わせた総合評価が、大変重要になります。最近では今日では骨髄液検査、遺伝子検査の実用化も進んでいます。

血液検査

血液検査のみで認知症性疾患を診断することはできません。認知症と間違われやすい症状に意識障害があり、この疾患が疑われる場合には血液検査が有効です。
この検査は、内科クリニックなどで行う血液検査と基本的には同じです。生活習慣病が、脳血管性認知症と強い関係があるため、この血液検査を利用して区別して調べています。

画像診断

画像検査は、認知症の原因疾患を特定するために必要です。
脳の構造的変化をみるCT、MRI(磁気共鳴画像)と、機能的変化をみるSPECT(脳の血流をみる)、PET(脳の代謝をみる)が主な検査です。

CTスキャン、MRIから、SPECTやPETのように脳のはたらき具合がわかるものまであります。CTスキャンは今日一般的となりましたが、認知症だと思っていたら、実は脳に腫瘍があったとか、血腫(血のかたまり)のためだったとかを判断するためや、 脳が縮んでいるのかどうかなどを見るために行われています。MRIは、CTよりさらに細かな病変の検出に優れていて、血流が悪くなっている状況がよくわかるので、意識を失って倒れたときなど、軽くても、脳梗塞の可能性があるときなどによく使われています。アルツハイマー病は、脳全体の萎縮のほかに側頭葉内側面の萎縮を診ます。また、脳血管性認知症は、出血や梗塞巣が複数か所あり、同時に大脳白質病変が多くみられます。

一方、SPECT、PETは脳神経の活動状態を画像化することができ、PETはSPECTより高解像度で、情報量も多く有用ですが、検査可能な施設が限られます。SPECTを使った脳血流は、アルツハイマー型認知症では脳全体の血流低下があり、なかでも側頭・頭頂部の低下が顕著です。脳血管性認知症は多発性あるいは「びまん性」の血流低下がみられます。PETを用いたアルツハイマー型認知症の検査では側頭頭頂葉を中心とした代謝の低下があり、脳血管性認知症は多発性の低下が多くの場合にみられます。しかし、このような例は比較的典型的な場合で、特徴的な変化がみられないことも多く、症状と画像検査を組み合わせて、正確に診断することが大切です。

生理的検査

代表的なものには脳波検査があります。これは、脳から発生している電流を増幅して、波形を記録するもので、その波形でいろいろなことがわかります。通常会話で異常がわからないほどのアルツハイマー型認知症であっても、波がゆっくりするなどの情報が得られるため、診断が微妙なときなどに使われます。また、認知症には種類が多くありますので、その区別のためにも使用される場合もあります。