特定非営利活動法人 栃木介護ネットワーク
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高齢者の介護問題行動を理解しましょう認知症の人と一緒にいると、「問題行動」と一般的に言われるようなことが次々起こります。あてどなく歩き回る、便をさわる、同じことをひんぱんにくり返すなどは、周りの人をいらいらさせるでしょう。ただ、介護をする側にとっては「問題な」行動だと思えるのですが、認知症の人にとっては、不安感の表れなのだと思います。何か困ったことが起きたときには、専門家や「家族の会」などに相談してください。何かいい知恵を貸してくれるかもしれません。実は、これらの行動には相応の理由があります。そこを理解しないで、行動を抑制することは間違った対応と言わざるを得ません。病的な無意味な行動と思われる問題行動も、その裏には必ず意味のある目的があるものです。痴呆症(認知症)高齢者は、弄便や徘徊以外にも不眠・興奮・失見当識などいろいろな症状を呈しますが、これらはその状態をさしたものであり、その原因を突き止めなければ適切な介護を提供することはできなくなります。 ぼけ(認知症)介護10カ条 [(財)ぼけ予防協会より]
第1条【コミュニケーション】語らせて微笑みうなずきなじみ感痴呆(認知症)老人の介護は、老人とよいコミュニケーション(交流)を築き、人間関係をつくって働きかけをしてゆくことが基本です。会話を主とするコミュニケーションは、意志や情報の伝達のほかに、よい触れ合いの中で相手の人柄の理解や情緒的な結び付きのもとともなります。家族や社会の援助に依存しなければ生きてゆけない老人が、そのことで生きる頼りの拠りどころを得て、安心・安住することができるようになります。老人は不安な時には、要求や主張を一生懸命に訴えてきますが、普段は一般に受動的で消極的で、言葉の話しかけは決して多くはありません。したがって老人に、こちらから話しかけて思いのまま語らせ、耳を傾け聞き受けとめて、訴えには逆らわず間違いは許容して、その心を知ることが大切です。また心身の障害が重いほど、非言動的(表情、身振り、言葉つき、態度など)な心づかいが必要です。老人と心を通わせ、信頼関係を築くためには、温かいまなざし、微笑み、受容を示すうなずき、心を伝える手のぬくもりが必要です。すなわち、長い人生を歩み社会に貢献し、現在気力も体力も衰えた人をやさしく労う心で接することです。言い換えれば、愛情をもって接することに尽きます。話しかけるときは、目をよく見て(難聴者には耳もとで)穏やかに、わかりやすい言葉ではっきりと話しましょう。老人をバカにして叱り続けたり、その言葉を抑えたりするなどはもっての外です。こうして同じ仲間になれたという親近感と安堵感が老人の側に生まれて「なじみ」の人間関係ができると、老人は素直に従ってくれ、介護も円滑にゆっくのです。「対応しだいでよくも悪くもなるのが痴呆(認知症)老人」です。老人のよい点を認めてよい付き合いをしていくことが大切です。 第2条【食事】工夫してゆっくり食べさせ満足感痴呆(認知症)老人は自分で食べるという行為はできても、必要な量をバランスよく、安全に摂取することが難しくなります。そこで、老人の好みに合った食事を規則正しく摂れるような援助が必要です。激しい徘徊のある人と、自発的に身体を動かすことのできない人とでは、エネルギーの消費量が異なります。個人差を考えながら、エネルギーの摂取と消費のバランスを保つよう食事の量を調整しましょう。食事の内容は歯がなくても胃腸が悪くなければ、家族と同じものを柔らかく調理したり、細かく刻む、のどごしをよくするなどの工夫をします。たとえば、とんかつなど、薄切りの柔らかい豚肉を2~3枚重ねて作り、食べやすい大きさに切って出します。食事は見た目がとても大切です。歯がない高齢者は粥と細かく刻んだお菜と決めつけないことです。粥食を毎回残す人でも、おむすびや好物のうな重などは残さないものです。痴呆(認知症)老人は水が欲しくても訴えられません。食事のときの汁やお茶以外に1日1000~1200mlを目安に与えるようにしましょう。食事をおいしく食べるには落ち着いてゆっくりおできる環境が大切です。異臭のない明るい場作り、小鳥の声や心のなごむような音楽を静かに流す。食事をこぼしたり、時間がかかってしまうときなども叱ったり注意したり、お節介のし過ぎをしないようにします。食事の前後はうがいをすすめましょう。うがいができない人には番茶を与えて口の中の清潔が保てるようにします。食事を食べようとしないときは、熱があるか、身体の調子が悪い、便秘、義歯が合わない、口内炎があるなど口の中のトラブル、不安や落ち着かない気分、他のことに気を奪われている、食べものであることがわからない、食べ方を忘れている、すでに食事をしたと思い込んでいる、介護者の食事の勧め方が適切でないなどが考えられます。また、食事中や食後にむせたり激しい咳き込みがあるときは誤嚥の危険がありますので注意します。 第3条【排泄】排泄は早めに声かけトイレット痴呆(認知症)介護のなかで、手のかかるものの一つが排泄介護です。尿失禁をはじめとして、トイレ以外のところに排尿する行為(放尿)やおむつを勝手に取り外してしまう、また便をこねたり、壁にこすりつけるなど、さまざまな行為に介護する人は振り回されてしまいます。このような排泄の問題は頻繁に時を選ばずに起きてくるうえ、本人や周りの環境を汚染し、臭気を伴うだけに深刻です。排泄の失敗が起きてしまうと、本人の自尊心を失わせるうえに、周りの人の痴呆(認知症)老人に対する評価を下げてしまうことにもなるものです。排泄の問題について適切に対応していくことは、痴呆(認知症)老人の尊厳を守るためにも大切なことです。尿失禁や放尿など排泄がかかわる問題は、行為の背景にある欲求や行動の目的を理解することで介護方法の手掛かりが得られます。尿失禁のある場合も尿意を感じていてウロウロしたり、おむつを外したりといった行動をとっていることも少なくありませんし、トイレが探せなくて間に合わずに廊下の隅やゴミ箱などに排尿していることも多いものです。したがって、尿失禁や放尿がみられたときには、痴呆(認知症)老人一人ひとりの排尿パターンや排尿行動の特徴をよく知って、排尿時間に合わせたり、また排尿サインをキャッチして早めにトイレに誘導すれば、失敗を防ぐことができます。トイレの位置がよくわかるように目印(大きな字で「便所」と書く、矢印も)をつけることもトイレ誘導に有効です。トイレに誘うときの言葉のかけ方は、自尊心を傷つけないように命令口調は避け、「トイレはこちらですよ」といった言葉のかけ方をするとよいでしょう。 第4条【入浴】機嫌みて誘うお風呂でさっぱりと身体の清潔保持はだれにとっても健康保持のために欠かせないことですが、痴呆(認知症)老人はとくに清潔観念が乏しいところもあるので、身体を清潔にすることはとても大切なことです。もともと入浴は心理的にも爽快感をもたらすうえ、国民性もあって喜ばれるものですが、痴呆(認知症)老人のなかには嫌がる場合もあり、手こずることが少なくありません。痴呆(認知症)老人が入浴を嫌がる理由の一つには、裸になることを警戒する心理が考えられます。いわゆる、理由なく身ぐるみはがされてしまうことへの抵抗です。また、入浴が億劫に思えることもあります。ですから、入浴をスムーズにしてもらうためには強制してもうまくいきません。入浴への動機づけを考えて、その時、その状況のなかで上手に誘ってみることです。機嫌のよい時に、「温泉に入りましょう」というように、心地よい思いをもたせたり、場合によっては「一緒に入りましょう」といった誘い方が効果を上げることもあります。介護をする側の都合(早く入浴をすませたいなど)を全面に出せば、抵抗感を強めてしまうだけです。誘う側も余裕をもって、どのようなタイミングでどのような言葉をかけていこうかを工夫してみる姿勢が求められます。 第5条【身だしなみ】身だしなみ忘れぬ気配り張り生まれ痴呆(認知症)老人が一日中、寝間着のまま着替えしないで起きたりしていることがよく見かけられます。洗面をしても髪にクシを入れなかったり、ひげが伸びたままといったことも珍しくありません。介護する人も、痴呆(認知症)老人だからそのようなことが当たり前だと考えています。しかし、痴呆(認知症)老人が「身だしなみ」に気配りしないようになれば、生活のリズムや張りを失って痴呆(認知症)症状を進めるきっかけにもなります。また、身なりが乱れている様子は、周りの人からさげすまれるもとにもなります。したがって、寝間着から昼間着に着替え、身づくろいをして、日中を活動的に過ごすようにすることは、本人の気分転換と快い緊張感、楽しい人間関係のために大切なことです。人間は文化や生活習慣を背景にもった社会的存在です。老人が周囲から疎外されないで、自分なりに培ってきた文化や生活習慣をもち続ける手助けをしてあげることが痴呆(認知症)老人のQOL(生活の質)のために必要です。老人の人柄や生活史をよく知って衣服の色やデザインの好み、着慣れた服装を把握し、その人なりの身だしなみができるように援助していきましょう。痴呆(認知症)老人に化粧を取り入れたところ、生き生きしてきたという報告もあります。朝の洗面、歯磨き、ひげ剃り、髪をとく、化粧する、好みの服に着替えるといった身だしなみの基本を守っていくことは痴呆(認知症)介護の基本のひとつです。 第6条【活動】できること見つけて活かす生きがい作り痴呆(認知症)がはじまると、ごく簡単なことでも新しいことを覚えるのは難しくなります。しかし、若い頃からやっていた仕事や運動、趣味、遊びなどは多少不完全であっても、介護者の適切な援助があればできます。活動はグループで行なうことで、他社との交流が広がり孤立や不安などの改善につながります。プログラムとその内容は、高齢者の知っているもの、難しいルールのないもので、個々の高齢者が楽しめるものにします。グループ活動が苦手の高齢者には個別のプログラムを作ります。たとえば、さらしに麻の葉模様の線をひき、針に赤い糸を通して渡したところ、あっという間に花ぶきんを縫い上げた人がいました。何事にも意欲がない高齢者も、得意なことを行なうときは生き生きと輝きます。こうした活動を続けることが、精神症状や問題行動の予防や改善にもつながります。在宅での役割も、単純な繰り返しの作業のほうが効果的です。たとえば、毎朝、新聞の取り込み、食後の食器洗い、洗濯物をたたむなど、わかりやすい時刻を設定して、毎日繰り返し作業ができるようにパターン化しておきます。一人で行なうのが困難な場合は、介護者と一緒に行なうようにします。痴呆(認知症)老人は、毎日行なっていることでも、間違えたり、失敗したりしますが、叱ったり注意したり、指導したりしても無意味です。寸前に行なったことを忘れているからです。危険なことでなければ、「あら、良い方法ですね」と支持し、その後に「こんな方法はいかがでしょう」と正しい方法をやって見せます。高齢者は介護者のやり方を見て、正しい方法を思い出し行動できます。 第7条【睡眠】日中を楽しく過ごさせ夜安眠睡眠は、休養時間の大部分を占め、身体全体の活動を単に休息させるだけでなく、大脳も積極的に休ませる働きがあります。そのため睡眠が不足すると身体がだるくなったり、頭がボーッとしてきます。また、頭と身体の疲れをとるには、この両方をバランスよく十分にとることが必要です。睡眠不足が続きますと、痴呆(認知症)老人にとっては、種々の問題行動、精神症状(多動・被害妄想・不穏等)、身体症状(かぜをひきやすい等)の誘因になります。したがって、夜間にぐっすり安眠できることは痴呆(認知症)老人が心身ともに快適な生活を送るために大切なことです。高齢者の睡眠は、一般に寝付きが悪くなったり、断続的に浅く早朝覚醒などの特徴があります。その要因はさまざまですが、すべてが病的なものと限りません。不眠を訴える痴呆(認知症)老人に適切に対応するためには、不眠の特徴を知って、その要因を考えてみることです。痴呆(認知症)老人は、夜間起きてゴソゴソし、昼間寝るという昼夜逆転を示したり、睡眠・覚醒リズムの周期が乱れ、せん妄を起こす場合も多いものです。睡眠を阻害する要因として、日中の運動不足が目立ちます。日中楽しみながらできる運動やリハビリ、アクティビティ、遊び、家事動作などの疲労感は睡眠を促します。睡眠を生活リズムの一つとしてとらえ、夜の睡眠と午睡のとり方、また運動や食事とのかかわりあいなどを総合して考えることが大切です。安易に薬に頼ることは、生活のリズムを乱すもとにもなるので避けなくてはなりません。 第8条【精神症状】妄想は話を合わせて安心感痴呆(認知症)老人にみられる症状の一つに妄想があります。妄想とは誤った考えを確信することです。妄想の中では被害妄想がよく見られ、物盗られ妄想、いじめ妄想などの形で現れます。実際には「嫁がお金を盗った」「ダイヤの指輪を盗まれた」「隣の家の人が夜中に来て通帳を盗んだ」とか「嫁からいじめられる」「冷たくされ見捨てられる」などと訴えます。そんなことはしていない、どこかにしまい忘れたのではないかと説明しても納得してくれません。ときには興奮して相手を泥棒呼ばわりすることもあります。家族が相手にしないと近所の家に行って訴えたり、近くの交番に行って訴えたりします。一般に身近な人が妄想の対象になることが多いようです。このような妄想がなぜ生じてくるのか本当のところわかりません。ばけ(認知症)の影響に加えてお年寄りが生きる拠りどころとしているもの、たとえば、家族、健康、財産、生きがいなどを失うことが原因であることも多いです。また、同居している家族から冷たく扱われたりし、見放されたと感じた時などに生じたりします。このような妄想を訴えたときには頭ごなしに強い調子で否定したり、その考え正そうとして理屈で説得しても理解してもらえません。かえって反発心を生んだり、妄想がひどくなることがあります。むしろお年寄りの訴えにゆっくりと耳を傾け、話しに合わせて受け止め、抱いている不満や不信感を和らげ安心感を与えることが何より大切です。執拗に訴えるときには、一緒になって探してあげたり、興味ある話題に切り替えたり、好きな民謡を歌ったり散歩に連れ出したりするなどの工夫をしてみましょう。身近で介護する人たちが日ごろから親密なかかわりをもち、心の通った介護を通してなじみの人間関係を築いていくことや、心安らげる場を作ってあげることがお年寄りの安心感を生み、自然と妄想の軽減や解消につながるものです。 第9条【問題行動】叱らずに受け止め防ぐ問題行動痴呆(認知症)の症状の一つに、はたからみて特に異様に思われる行動があり、問題行動といわれています。問題行動のうちで最も頻度が多く対応にとまどうのは徘徊です。これはふっと家を出て、あてもなく歩き回り帰り道がわからなくなり、迷子になったりするもので、転倒したり、また交通事故に遭うことにつながりやすくなります。徘徊をはじめとした問題行動は本人の危険も伴い、周りもそのままに放置するわけにいかないために、そのような行動が起こらないようにする対処が求められます。その場合、問題行動を起こすのは本人が危険性や問題点を知らないためと考え、叱りつけたり、説得したりして行動を止めさせようと考えるものです。しかし、本人には行動をとるにはそれなりの理由や目的(徘徊の場合は家に帰りたい、散歩に出たいなど)があるわけですから、叱られれば自尊心が傷ついて、行動を止めるどころか反発したり抵抗したりするものです。したがって、問題行動を止めさせるには本人の動機や目的が何かを考えて、欲求が満たされ、かつ危険性がないように対応する必要があります。徘徊への対応として、施設(病院も含む)では自分の部屋に閉じ込めるのではなく、ホールや施設・病棟内を自由に歩けるようにし、また他の入所者などとコミュニケーションをもつようにします。家庭の場合は戸外に連れ出す機会を多くするために、散歩や買い物などに一緒に歩くことを試みます。また、玄関のドアや門の戸などにベルや鈴をつけ外へ出る場合を知り得るようにし、時間の許す限り後を追ったり、一緒に歩くことです。また、元がわかるように住所、名前、電話番号などを書いた名札を衣類などに縫い付けておいたり、ポケットに名札や名刺を入れておきます。さらに近くの人々に一人歩きをしていたら教えてもらうよう、特によく行くスーパーや商店街などの人々にお願いしておきます。 第10条【自尊心】自尊心支える介護で生き生きと知的機能の低下した痴呆(認知症)老人は子供と同じと思われているところがあります。家族の顔や名前を忘れてしまうような様子に接すれば、子供のように思ってしまうのかも知れませんが、痴呆(認知症)老人はどのように知的機能が衰えようと、子供と同じではないのです。今まで長年生きてきた自信と誇り、自尊心を失うことはありません。物忘れが激しいとか、思い違いが目立つといったことで、子供のように扱ったり、バカにするような態度が見られれば、痴呆(認知症)老人は自尊心が傷つけられたと思い、強い抵抗や反発を示すものです。介護者の言葉が痴呆(認知症)老人の自尊心を傷つけることで、暴言や暴力が引き出されることも少なくありません。痴呆(認知症)老人の暴言、暴力の裏に、自尊心を傷つける介護者の言葉・態度がないかを謙虚に振り返る必要があります。知的機能が低下している痴呆(認知症)老人を人生の先輩として尊重し、日々の生活が快適に、豊かに過ごせるように手を貸すことが求めれています。痴呆(認知症)老人は自分が周りから尊重されていると感じたら精神的にも安定し、自分の力を十分に発揮することができるようになります。痴呆(認知症)老人が脅えたり、落ち込んだり、傷ついたりするといった精神的ストレスを不用意に与えてしまうことは介護者として避けなければなりません。そのようなことに陥らないようにするためにも、痴呆(認知症)老人の現在の姿だけでなく、過去に歩んできた人生の軌跡にも関心を向けて、痴呆(認知症)老人の全人生を感じとるようにすることが大切です。痴呆(認知症)老人の可能性や潜在能力を信じてそれを見つけ出し、生き生きとした誇りをもてる生活ができるように手助けしていきたいものです。 (1999年3月制定) 問題行動が始まったとき妄 想相手の話を否定しない
間合いをはずす
起きる 時間帯は?
あなたが盗ったのでしょう!という「物盗られ妄想」が始まったときまず、一緒に探す
その上で、本人が自分の力で見つけられるようにする
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